2014年12月19日金曜日

12月17日 正しい歴史を知ること

先日の帰国時に進められて、移動中の電車などに乗っている間に読んでしまったのが左の本。戦前、戦後にかけて国会議員だった、斉藤隆夫という人の回顧録と、彼の話題となった国会での発言記録がまとまった本。最近、戦前、戦後にかけての歴史認識を見直そうという機運があるが、上っ面だけの議論でインターネットなどで簡単に自分の反対の意見を批判する人々が多いのは非常に残念だと思う。さらに、メディアが基本的な機能を果たせておらず自浄機能が働かず日本はどうなってしまうのだろうかと心配になる。
いままで、開戦に至る国会、そして内閣の動きは陸軍を中心とした軍部の暴走とだけ学んできたが、そこに立法府としての国会がどのように機能し、どのようにその機能を果たせなくなっていったのかがこの本を読むとよく分かる。彼は三権分立をどのくらい信じていたのかわからないが、国会議員として官僚を全く信じておらず、議会がしっかりと政府、官僚を把握しなければならなという筋をもった珍しい議員だったようだ。彼からすると、戦争に向かう状況を止められなかった外務官僚、そして官僚出身の大臣の評価は非常に低い。「落日燃ゆ」 などでA級戦犯になった廣田外務大臣に多くの人々は哀れみの目を向けるが、それとは違った見方をこの本は提供してくれる。最近、トレビ上がりの作家の作品が話題になりなんとNHKの委員にまでなっているが、本当の歴史とドラマを見分ける力を国民が持たないととても危険なのではないかと思ってしまう。というわけで、今回はこの本に加え、落日燃ゆなど読むべき本を子供たちに持って帰った次第。月に数冊づつでもこちらに日本から本を送ったほうがいい気がするがさてどうしよう。

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